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私的籠球論 22 日本への適応力

以前川崎ブレイブサンダースvsサンロッカーズ渋谷の試合を見ていた時のことであった。川崎には日本代表の選手が複数在籍しているが、その中でも御目当てはセンターのニック・ファジーカスであった。

股関節をこするような独特の走りのフォームとゴール下での絶対的な存在感。シュートセンスの高さ。近年の日本代表のセンターだと宇都宮ブレックスのライアン・ロシターもアピールをしているが、日本代表のセンターは俺だと言わんばかりの力強さ。このくらいの負けず嫌いでなおかつ芯の強さがないと日本代表というのは務まらないのだな、というのを、この日のファジーカスの動きを見ていて思った。

しかしファジーカスというのは実はNBAの経験はない。U-19の世界選手権でアメリカ代表に選出されたことはあるもののNBAでのプレーはなかった選手である。

筆者が見た試合でSR渋谷にいるジェームス・マカドゥはNBAでゴールデンステイト・ウォーリアーズでのNBAチャンピオンの経験もあるし、ライアン・ケリーはロサンゼルス・レイカーズの在籍経験もある。本来バスケット選手の格で言えばこの二人のほうが上である。

しかし野球でもサッカーでもそうなのであるが大事なのは本場でどれだけ活躍したかということでなく、日本という土地にどれだけ適応できるのかということである。

この日のファジーカスののプレーを見ていて思ったのが、かつての日本のプロ野球がバリバリのメジャーリーガーを呼んできて失敗した一方で、阪神にいたバースやヤクルトのラミレスはアメリカでは結果を残せず、日本に来たのが背水の陣でプレーしていたということである。

前述のマカドゥやケリーはBリーグでは成功している部類に入るが、日本に来ているアメリカ人バスケットプレーヤーの中には日本という異質の環境に適応できずに、有り余る能力を発揮できずに帰国していった選手も数多い。

その一方でファジーカスも田舎か都会かの好みで言えば都会のほうが好きで、以前在籍していたベルギーの小都市のクラブでは町になじめずすぐに退団したという経緯がある。

そう思うと来日する外国人プレーヤーというのはアスリートの宿命とはいえ、まったく異質の環境にも適応しなければならないという意味では本当にタフな仕事のように感じる。

車にしてもハンドルの右と左の違いもあるし、休日に気晴らしに服を買いにいこうにしても、服のサイズが合わなくて買い物の気晴らしもできない。何より大柄だから何をしても目立つので周囲の視線も感じる。選手によっては神経質になる人間もいるであろう。

しかしそうした中でもアスリートというのは何の競技でもその国に適応できれば、自国の結果にかかわらず、自分の居場所ができるのかもしれない。適応力のというのはアスリートにとって必須の能力だ。