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私的蹴球論 28 小野伸二の適応能力

少し前の話になるが、コロナの自粛騒動の直前に筆者は2020年2月にサッカーJ2ジェフ千葉vsFC琉球の試合を見た。

試合としては普通のJ2の試合であったが、対戦相手に一人気になる選手がいた。

小野伸二である。浦和レッズと日本代表で一時代を築いたあの小野がいま琉球でプレーしているのである。

この試合では後半からの途中出場であったが、コーナーキックの時突っ立っているだけでもその存在感は異質であった。

しかし今回書きたいことはそうした技術論のことではない。そうした記事はほかのサッカーブログでも読めばいい。

筆者が言いたいのはそこではない。小野という選手は前所属が北海道コンサドーレ札幌だったのである。

冬は零下を下回るところから亜熱帯の土地への移籍。極寒の地から灼熱の地への移籍。サッカーというスポーツはワールドワイドで世界中にチームがあるということはみな知っていることであるのだが、今回の小野の移籍を見てみると、改めてサッカー選手という職業はタフな商売だな、というのを感じる。

そういう意味で感じたことがあるのだが、以前ジェフの若手でいたのだが、少年時代からずっと千葉で育ってきた選手が、プロになっていきなりブラジルのサンパウロのチームに武者修行という形で移籍が決まった。

言葉はおろか日本とは何もかも違う環境でサッカーをすることになり、すべてにおいてタフな精神力を身につけないとこういう世界ではやっていけない。過酷な環境に対する適応能力を身につけないと「お前の代わりなんていくらでもいる」と簡単に切り捨てられてしまう諸行無常な世界。

そうして半年間ようやく現地になれたところでまた日本に戻って来いというお達し。よく熱帯魚は環境が変わりすぎると死んでしまうというが、サッカー自体はうまくてもこうして過酷な環境に適応できずに去っていった才能というのはいくらでもあるのであろう。

こうした話というのは何もサッカーだけの話ではない。芸事全般にも言えるのである。

以前名古屋に訪れた時に、名古屋のご当地イケメンユニットが仕事以外の移動などの素顔をパネルにしている写真が飾ってあった。

そうした写真には些末な控室での写真や安価な移動手段で仮眠をとる姿などどこからどう見てもイケメンの彼らも、其れだけではいくらでも代わりがいるという厳しい芸能界の世界の一面を垣間見ることができた。

それはアイドルも同じでかわいいからアイドルになれるのかといえば大間違いで、超美人のアイドルが睡眠時間3時間で夜明けのウミガメの産卵シーンをレポートするなんて話もざらに聞く。

話をサッカーに戻そう。今小野の所属するJ2というリーグも大半のクラブは移動は自由席である。しかもサッカーは八百長防止のため全員集団での移動を義務付けられている。しかもバス移動でもバスにトイレがない。比較的裕福なJ2でも移動はこれだけ過酷なのである。しかも沖縄のクラブは移動は全部飛行機だし直行便のない土地での試合がほとんどであるから、移動だけとっても過酷な世界だ。

筆者自身J2の試合を長く見ているのでプロスポーツという世界で生きることがその競技いのは当たり前で、それ以外にもいかに過酷な環境に適応できるかというのが、永くその競技かかわれるかのカギになると感じるのだが、残念ながらそれを知る人間はほとんどいないのが現実だ。