サッカー&バスケビジネスのブログ

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私的スポーツビジネス論 35 外国人補強の明暗

筆者もこのブログでスポーツビジネスの記事を書いている身なのであるが、筆者自身今はサッカーとバスケットをフィールドにしている。

そうした中で今回のブログのテーマである外国人補強の話であるが、これはサッカーやバスケに限らず、野球やほかの格闘技でも同じである。高い金を払って外国人選手を補強して成功するか否かという答えはもう明確に出ている。

結論から先に言うと、外国人補強の成功というのは、その選手が祖国のトップリーグに在籍していた名のある選手かどうかというのは、本質的にはどうでもいい話で、結論を言えば有名無名問わず日本になじめるかという話である。

外国人が日本で生活するというのは我々日本人には想像を絶するくらいタフなことなのである。

以前英語を習っていた時に、カナダ人の男性英語教師と飲む機会があった。宴も終わり帰路に就こうとしてJRの自動券売機に着いたときに、そのカナダ人に言われたのが「SUICAのチャージの仕方がわからない」といわれ、自分が代わりにやったことがある。同様の事例はフィリピン人の女性に駅で頼まれて同じことをしたことがある。

鉄道の自動券売機は英語表記で外国人ならわかるだろうと思っていたが、とんでもなく、券売機の発券システムというのは外国人にとっては全くのちんぷんかんぷんな代物であるという。

そう思うと外国人が日本に住むということは、日本人以上にハードなことである。公共交通機関の利用方法やゴミ出しのシステムなど一つ一つがストレスがたまり、自国にはあって当たり前の食材が日本にはまったく存在しないということもざらにある。英語を話すことができれば、海外に順応できるかといえば大間違いである。

翻ってスポーツの話である。食の話題で言えば、中米にプラタノというバナナがあり、向こうではポピュラーの食材である。

我々日本人が想像するバナナではなく、甘くはなくてむしろ主食の炭水化物として食べるものである。

しかしそんな食べ物は日本にはない。某球団の野球選手のドミニカ人はそれを食べたいという。フロントはそのドミニカ人が試合で活躍すればプラタノを買ってやると言い、死に物狂いで頑張ると言っていた。異国の地で結果を出すというのはそれだけハングリーにならないとできないことなのである。

日本になじめるかどうかという話で思い出すのが、阪神のバースである。今でこそバースは日本球界を代表するような球史に名を残す名助っ人であるが、実際のところ日本に来るまでは、アメリカ球界に干されていて日本で活躍するしかない状態での来日で、いわば背水の陣でやってきたのである。

人間バースに限らず、逃げ場がないとそれこそ死に物狂いでがんばるもので、バースもあの腰掛程度の気分でやってきた外国人とは違い、日本の野球はもとより将棋のルールを覚えるなどして、日本で結果を残すために日本文化に適応しようとそれこそ貪欲で必死になっていた。

そうしたバースの努力の結果はここで語る必要もないくらい人口に膾炙している。

自分のフィールドはサッカーとバスケであるが他の競技でも一緒で、自分の祖国で出した結果にプライドを持って来日する有名選手は大抵日本の文化になじめず、成功しない。

むしろ祖国では無名だったり居場所がなくなって背水の陣で来日する選手のほうが、日本に適応して、そのチームになくてはならない存在になるものである。

今の時代新型コロナの影響で、外国人選手がスムーズに来日することが難しい時代になったが、有名な選手が来日してもその選手が積極的に溶けこもうとしないと意味はないし、チームの首脳陣もそうした高額の選手を使いこなさないと意味がない。

何度も言うが外国人の補強を成功させたければ、有名な選手を呼ぶよりも祖国でくすぶって後のない選手に目をつけたほうが長い目で見るといい買い物になるのである。