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私的蹴球論 37 冬の選手権のプレーヤーズファースト

このブログを書いているのは2021年1月10日で冬の選手権も佳境に入っているころであろう。そしてこのブログがアップされているころには冬の選手権も終了していることであろう。

筆者自身あまり学生スポーツにいい思い出がないので、サッカーファンの割には冬の選手権というのには、さほど興味はなく、今現在コロナ禍による自宅待機を余儀なくされているが、本当であったら、錦糸町当たりでFリーグでも観戦しようと思っていたくらいである。

そんな中での私的な冬の選手権についての想い。それは冒頭のタイトルにあるプレーヤーズファースト。選手のコンディションよりもテレビ局の都合を優先した過密日程の在り方に問題があるのではないのだろうか?

むかしあるサッカー漫画家が言っていたが「高校サッカーというのは3年間やっていると身体がボロボロになってしまうんですよ。だから選手のみんなは疲労骨折を隠してプレーをしないようにね」と言っていたが、視聴者やサッカーファンというのは冬の選手権に対してあまり選手の身体に対して責任をもって観戦していない。おそらくテレビ局が作ったお涙頂戴の脚本に乗っかって観戦しているだけに見える。

しかし、選手とその家族というのは一生その怪我と付き合っていかないといけない。よくスポーツ漫画で「この怪我で体が動かなくなってもいい。この試合で完全燃焼できればそれでいいんだ」と主人公が自分のセリフに酔ってヒロイックになるシーンがある。

大体においてスポーツ漫画というのは誇張の多いご都合主義であるから、再起不能の怪我だと言っても次の試合にはなぜか完治して試合に臨めてしまっているシーンがほとんどである。

しかし、現実の世界はそんな漫画みたいに甘くはない。以前高校野球で過密日程による登板過多の投手が後遺症で肘がまっすぐ伸ばすことができなくなってしまったという話があったが、甲子園でも冬の選手権でも無事是名馬で引退できる選手というのはほんの一握りで、スポーツというのは身体にいいようで実は身体に悪く、無理をして試合に出場して身体を壊し、学校側からは何の保証もなく、結果選手は長い長いリハビリの果てにようやく「一般人」として生活する、という話は多い。

筆者自身、高校三年間を費やしてサッカーや野球に打ち込む尊さを否定をしない。しかしサッカーファンは高校生サッカー選手の身体に対して少し無責任に見える。

以前サッカー日本代表長友佑都が「冬の選手権が過密日程すぎる。選手の身体を最優先にした日程にすべきだ」と言っていて,自分も大いに賛成するが、主催するテレビ局側からすれば、視聴率や費用といった利益の問題ばかり重視して、一向に変化の兆しは見えない。

そうしてサッカー選手を使い捨てにしてW杯になると同じテレビ局が「日本サッカー界は結果がすべてだ」とのたまう。いまの日本のサッカー界が伸び悩んでいていて、そうした状況でもともと才能の塊であった若き選手の芽を摘んできたのは、あなたたちサッカー界が作ったこうした高校スポーツの過密日程が原因でしょっ!と筆者は言いたい。

だからW杯に対しても最近ネガティヴな感情が多い昨今である。本当に日本のスポーツ界のことを考えるなら、高校生スポーツの過密日程は今すぐ見直すべきである。