サッカー&バスケビジネスのブログ

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私的スポーツビジネス論 32 移動の問題

筆者のフィールド外のことであるが、最近はプロ野球の16球団制についてマスメディアのみならず様々な場で議論されて久しい。

もともとこの国の首相がプロ野球16球団は可能だと言うようになって、そこからIT長者や各種政財界など多額の金を扱うことが可能な人種が、プロ野球の球団が増えることが金になると読んで、メジャーリーグのエクスパンション(球団増加によるリーグの拡張政策)のような拡大路線を推奨している流れに見える。

こうしたスポーツビジネスにおける立場を取り払った形での議論というものはとても良いことのように見える。ぜひ継続してやってもらいたい。

しかし野球に限った形ではないが、スポーツビジネスにおける問題の一つに移動の問題というものがある。

筆者自身こうしたスポーツビジネスの勉強を独学でやっていて、野球だろうがサッカーだろうが、生命線になる問題というのが、今回の問題に上がっている移動の問題である。

依然読んだ本にもあったが、かつてお荷物球団であった広島カープが強くなったのはそれまで地方都市にある広島に山陽新幹線が開通して、選手の移動の負担が格段に減ったというのも大きかった、という話があったが、サッカーだと同じ中国地方にあるガイナーレ鳥取は大阪の伊丹空港までに4時間かかると言われている。地方のスモールクラブというのは移動の面でも首都圏のクラブに比べて、金銭面でリーグから補助があっても時間や疲労の面でもハンデが出てくる。

プロ野球の話でいえば、新球団ができて、仮に静岡と鹿児島に新球団が誕生すれば、静岡と鹿児島の対戦が起こることになる。

そうなれば鹿児島の球団が定期的に静岡まで移動をする必要がある。

当然のことながら静岡と鹿児島には直行便はなく移動に関しては乗り換えが必要になり、その分肉体的、身体的な負担が必要になる。

前述の政財界の球団拡張政策推進論者の人々は、こうした選手の移動の負担を考慮したうえで、球団増を考えているのかと筆者は疑問に感じてしまう。

逆に言えば16球団を推進するならば、それこそメジャーリーグのように選手の移動もチャーター機を使うくらいの徹底した移動の負担を軽減した対策をするというのなら、筆者としてもプロ野球の球団増は賛成できる。

しかし先に架空の鹿児島のプロ野球球団の例え話をしたが、実在するJ3鹿児島ユナイテッドも現実には移動が大変であるというし、サッカーでも前述のように地方のスモールクラブというのは移動の負担が大きすぎるがゆえに選手やスタッフの報酬に満足な金額ができないという話も聞く。

スポーツチームの移動というのは何十人の成人男性が大挙して遠方の土地に移動することを指す。スポーツビジネスがその甘美な言葉と裏腹に過酷な環境での金食い虫な世界だというのはその移動費が馬鹿にならないからだと言われている。

プロ野球の球団増の問題もこうした移動の問題という地味なインフラ整備の問題と向き合って、しっかりした対策を打てたうえで考えていかないといけない。

ただ勢いだけで球団を増加しても選手が泣きを見るだけである。そうしたインフラの問題を克服してからの球団増なら筆者は球団増は大賛成である。