私的蹴球論 26 兼業スポーツファンのすすめ
個人的にまだ理想のサポーター像について書き足りないので記事をつぎ足ししたい。
前にも書いたことなのだが、日本の野球ファンというのは視野が狭い気がする。何度も繰り返すようだが、日本の野球というのは奥が深いし、日本人に多くの感動を与えてきた競技である。それは認める。
しかしその野球という競技の魅力があまりに輝かしいがゆえに、日本の野球ファンは目がくらんでしまっているように見える。
それはサッカーファンも同じでバルサのサッカーが素晴らしいから、バルサのサッカーを理解しない人間を一段低く見てしまっている傾向にある。
しかし私に言わせてみれば、野球にもサッカーにも興味がない人間がいてもいいわけであって、今どきの言葉で言えばプロスポーツというのは不要不急の最たるものなのかもしれない。
考えてみれば自分という人間も若いころはずいぶんと視野の狭い人間だったわけで、その視野狭窄がゆえに、周囲の人間に多大な迷惑をかけてきた。
よく思うことであるが、日本のマスコミは何かにつけてすぐアメリカはアメリカはと、思考停止の出羽守を繰り返すのだが、本当にアメリカのスポーツ文化をまねるのなら、野球とバスケ、野球とアメフトみたいな兼業スポーツファンを推奨するべきである。
おそらくニューヨーカーにも夏はヤンキース、冬はNBAのブルックリン・ネッツを観戦したり、夏はメッツを観戦して、冬はNFLのニューヨーク・ジャイアンツを観戦するような、兼業スポーツファンは数多く存在しているはずである。
日本のマスコミもアメリカの出羽守を考えるなら野球一辺倒の考え方から脱皮するべきである。
対するサッカーファンもそうで、一つのクラブに対する忠誠心が美しいと考えるのだろうが、実際には現代人というのは生活拠点を目まぐるしく変えるものなので、今の時代ずっと同じチームを見続けるのは簡単なようで難しい。
よくイングランドでもプレミアリーグと5部リーグのチームを兼業で観戦するサッカーファンが存在するが、筆者自身もJ2ジェフ千葉とは別に、5部リーグのチームのサポもしている。いわば筆者は兼業で観戦するのだ。そうすることによってJ2でも恵まれているのだなというのがよくわかる。
突き詰めていってしまえば日本のスポーツファンというのは一途な思いと視野の狭さというのを混同してしまって、結果的に自分たちが恵まれた存在であるということを見失っているように見えてならない。
実際のところ野球とサッカーというのは日本だと同じシーズンのスポーツなので、兼業で観戦するのは難しい。
でも2019年にラグビーW杯で日本があれだけ熱狂したのだから、日本人も夏は野球、冬はラグビーという形で、兼業スポーツファンの形をとればいいのである。
筆者自身は夏はサッカー、冬はバスケという形で観戦するのだが兼業で観戦するのは大変なのだが、それでも視野が広がって、若いころの視野狭窄に比べたら、自分で言うのもなんだが考え方に深みが出てきた。
兼業で観戦するのは大変なことであるが喜びも増えるし、視野も広がる。いいとこどりの一石二鳥である。