私的スポーツビジネス論 12 好きなことを仕事にするリスク
筆者のブログは基本的にスポーツビジネスを中心としたブログである。筆者自体が若い頃によくある中二病で「スポーツを仕事にしたい」と考えていた時期もあった。しかしそうした「好きなことを仕事にする」ということは本当に幸せなのか?ということに今回は言及していきたい。
筆者が平日夜に聞いているラジオでリスナーがこんな投稿をしてきた。
「私(リスナー)はデザイナーです。この仕事で一番大変なのは残業です。来る日も来る日も帰りが遅く神経がすり減ってしまいました。好きなことを仕事にするという喜びも最初はありましたが、今はデザイナーとは違う職種に就いて、自分の時間を確保して、趣味の時間でデザインをやっていったほうがいいのかな?と思う毎日。今は好きなことを仕事にしても毎日が悶々としてうっとう鬱陶しいです」
自分はデザインという美的感覚を磨く世界とは全く違う世界で生きてきた人間である。しかしこのリスナーの投稿にピンとくるものがあった。
プロスポーツという仕事は前述のデザインの世界同様に華やかな世界。華やかな世界というのはどうしても若い人は(自分も若い時そうだったが)憧れてしまうものである。
しかし自分が興味を持っていたスポーツビジネスという世界にを射てはこれほどハードな世界というのもそうはない。
一般の仕事なら体調が悪ければ休ませてもらえるが、プロスポーツ(芸事全般)というのは40度の熱があっても休むことができない世界。病気を理由に休むことができないというのは本当に過酷な世界だ。
それ以外でも野球やサッカーなら夏休みものなく働きどおしだし、バスケのように冬がシーズンのスポーツなら当然正月返上で、残業続きの仕事をさも当然のようにこなしていかないといけない。
また好きなことを仕事にするというのはその職場環境が劣悪で抗議したところで「お前の代わりなんていくらでもいる」という世界だ。
そうしたうえにスポーツビジネスという世界は雇用の安定というものは存在せず、いつ首を切られても文句は言えない。
しかしそういうプロスポーツを仕事にするという過酷な現実を知らない輩が「サッカーを仕事にできるなら、給料なんて安くてもかまわない」といって自らやりがい搾取のもとでブラック企業のようなスポーツチームに飛び込んでしまう。
筆者自身も昔はプロスポーツチームの雇用環境の現実を知らないで、「スポーツビジネス=夢」と考えていた節もあったが、今のスポーツビジネスの現実を知ると「スポーツビジネス=ブラック職場」ということがよくわかる。
先日筆者が通っている施設で好きなことを仕事にしたいといっていた就活生とあったが、筆者は上記のことを述べて、好きなことを仕事にするリスクをかみ砕いて説明した。
好きなことを仕事にするのは一見すると楽しそうだが、実はノルマもあるし好きなことが嫌いになるリスクもある。また好きなことが自分に適性がないとこれもまた地獄のようになる。
好きなことを仕事にするのはリスクがあると考えるべきである。