サッカー&バスケビジネスのブログ

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私的スポーツビジネス論 26 魔法の鎧は4年で消える

このブログを書いている今は3月で卒業シーズンである。今しがた散歩がてら近所のコンビニに行ったら、近くの都立高校で卒業式があったらしく、女子高生が学校生活の思い出を大声でまくし立てていた。まさに女三人寄れば姦しいである。

そうした中で日本は、いや世界はコロナウイルスで持ちきりである。世界中の娯楽の世界は試合や公演を開けずに誰も得をしていない状況がかれこれ3週間続いている。

卒業式で高校生が学校生活を振り返るのも日常であれば、コロナウイルスで自粛という名の我慢比べをするのもまた日常。

今回は筆者があまりタッチしない学生スポーツの世界からテーマを考えていきたい。

筆者はここ数年アマチュアサッカーの世界を深く入り込んでいるのであるが、東京都リーグや関東リーグで急に存在感を示しているのが、他ならない大学サッカー部の2軍や3軍が社会人登録しているチームである。

ここ2年くらいJ1の強豪であるガンバ大阪天皇杯で大学生チームに敗れるという話ちらほら耳にする。

正直言って最近の大学サッカーチームの設備というのはプロ以上の充実度を誇っている。それは筆者が観戦しているサッカーやバスケのみならず、野球や格闘技でも同様だ。既に角界では大学相撲部のほうがプロの相撲部屋よりも選手層が厚いといった話もあるくらいだ。

しかもサッカーで言えば相手のスカウティングにも試合に出られない選手を人海戦術で分析させて、プロ顔負けの環境で戦える状況になっているという。

最近の大学生も親世代の収入減から生活費のためのバイトやら多額の奨学金で大変だというが、それでもサッカーで言えば関東の強豪大学でプレーしたほうが、J3でプレーしているよりもよっぽど恵まれているといっても過言ではない。

しかしここで翻って考えてもらいたいのだが、冒頭のタイトルにある「(大学生という)魔法の鎧は4年で消える」という言葉である。

昔ほど極端ではないにしろ大学生というのは責任もない。夢を追いかけても許される。好きなことを生活の主軸にしても誰からも否定されない。実家暮らしだったら風呂・寝床・三食、全部ついてくる。なんて恵まれた環境なのだろうか?

しかしそんな夢みたいな環境というのは永遠ではない。人生はそんな合成甘味料で味付けされた缶コーヒーのようには甘くはない。そんな夢みたいな環境で好きなことができるのは若いうちだけだと実感する。

筆者自身もそうだったが大学を卒業してから好きなことをするというのは本当に大変なのである。

生活の主軸が好きなスポーツから社会人での仕事にとって代わり、今まで冴えないおっさんに見えていたサラリーマンが、自分の勤める会社内では実は大きな権限を持っていて、自分の存在が今まで周囲に守られていたちっぽけな存在だったということに気づかされる。

サッカーでこういうプレーをしたいといっても、そうした自分の主張をするのが許されるのは、仕事で成果を果たすことができた人間だけ。いくら理想論を振りかざしても「お前仕事できてないだろ」と文字通り一蹴されてしまう。

その一方で仕事さえできていれば、ある程度のわがままも通ってしまうのもまた社会人。だからみなサラリーマンは一円でも利益を上げるために頑張る。

今回卒業式を迎えて大きな声で学校での思い出を語り合っている学生に言いたいのは、大学生という魔法の鎧というのは4年で消えてしまう。それは有限なものだ。しかしその4年間の期間を生かすもっ殺すのも本人次第である。

この春、大学を卒業した新社会人に幸多からんことを祈る。