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私的蹴球論 20 ジェフと23FC 「自由を持て余すクラブ」

前にも書いたことであるが、また書きたいので書く。筆者が応援するJ2ジェフ千葉と関東1部リーグ(J5)の東京23FC は何か似たような雰囲気や同じ匂いがするのである。

この二つのクラブに共通することと言えば、しっかりしたスポンサーがバックアップしてくれていて、都会の中心街にほど近いところにスタジアムがあり、そのカテゴリーにしては破格の人数のサポーターもいる。観客動員数にしても同じカテゴリーの中ではトップレベルである。

ジェフにしても23FCにしても他の同じカテゴリーの関係者がうらやむような恵まれた環境で戦えている。

しかしそれだけ潤沢な資金で補強をするも、人件費に対する費用対効果が全く釣り合っておらず、成績が下降する不良債権もある。

そうしたうえでシーズンオフにほとんどの選手を一斉解雇してしまい、本来残しておかないといけない選手や熱烈なコアサポーターまでクラブを離れていってしまい、出ていった選手も移籍先になじめず、結局は元居たクラブに出戻りしてしまう。

ここまで書き連ねていくとジェフ千葉と東京23FCというのは、何か同じ匂いを感じざるを得ない。

これらのチームの補強も子供が親におもちゃをねだるように買い集めて、結局使いこなせていない、そう、今回のタイトルにもある「自由を持て余す」という表現がしっくりくるクラブに見える。

サッカーというのは一年間の試合数も少ないうえに、一つの試合数で入る総得点も少ない。ある意味補強の費用対効果が出づらい、番狂わせの起きやすいスポーツである。

全くお金のないクラブであったら、このやり方でうまくいかなかったらもう仕方がない、という自分たちの哲学と心中する覚悟ができるのだ。

しかしなまじ小金があって、恵まれた環境にぬるま湯になってしまうと、補強の方向性に迷いが生まれてきてしまい、はたから見ていると、

「このクラブはいったいなにがやりたいのか?」

という軸足のぶれたチーム作りになってどこに向かっているのかが分からなくなってしまう。まさに「船頭多くて船山登る」という感じだ。

ジェフにしても23FCにしても本来であればもっと上のカテゴリーで高い次元のサッカーをやれるだけの潜在能力を持ったクラブである。

なのに今シーズンは両チームともに残留争いに巻き込まれる体たらくとなってしまっている。これだけ恵まれているのに何故だ?

最近になって思うのだが、補強で最も大切なのはお金ではなくて、フロントの持つ哲学のように思えてならない。

鹿島アントラーズが北関東の商圏の小さいクラブの関わらずあれだけの結果を残しているのはフロントに哲学があるからなのでは?と思う。

鹿島と言えばボックスの4-4-2という戦術をかたくなに変えない。クラブとしてもブレがない。言葉を換えれば自分たちのクラブが苦境に陥った時に戻れるお手本がある。

ここまでの哲学というのはジェフや23FCに限らず、ほとんどのクラブに存在しない。プロサッカーでは哲学を持ちながら勝ち続けるのは難しくむしろJFL のHonda FCのほうが哲学を感じる。

話を戻してジェフと23FCだ。サッカーの哲学というのは自動販売機のジュースのように小銭を入れてボタンを押せば手に入るような簡単なものではない。臍を噛む(ほぞをかむ)ような口惜しさを何度も経験して初めてとっかかりが掴めるものである。よく言う英語をしゃべりたい人が英語の参考書を買うことはできても英語をしゃべる能力までは買えないというのと同じである。

今回はジェフと23FCの放漫な補強について述べた訳だが補強にお金は大事だがお金を使って手に入れた自由を持て余すというのは本末転倒である。選手の本質を見極めてから獲得に動いてもらいたい。選手を買うのが大切なのではなく、勝った選手を使いこなすのが大切なのだ。