サッカー&バスケビジネスのブログ

サッカー(ジェフ)やバスケット(SR渋谷)、スポーツビジネスについてのブログ

私的蹴球論 6 神戸・ジェフ・23FC 「サッカーにおけるアノミー」

今回のテーマである「アノミー」とはいったい何のことであるか?という話である。アノミーとは社会学用語で「人間の欲望というのが普段は規範や道徳で押さえつけられているものであるが、経済の急成長や逆に大不況で欲望のコントロールが効かなくなり、人の欲望が肥大化していくこと」を指す。

普通アノミーとは人間生活における欲望の肥大化が好景気であれ不景気であれこうした動きによる価値観の急激な変化が自殺を引き起こす、とこの考えを推奨したフランスの社会学者エミール・デュルケムは自身の著書の中で述べた。

もちろんこのブログはサッカーとバスケ・スポーツビジネスのブログである。本来は関係ないテーマに一見見えるかもしれない。

しかし個人的に見てこうした社会学における欲望の捉え方とサッカービジネスに共通点のようなものが見えるのでこれから述べていきたい。

今回アノミーのことを述べた訳であるがこれはもちろんサッカー関係者が自殺をするというわけではない。ただサッカーにおけるお金の使い方、すなわち欲望の捉え方がアノミーに共通しているから今回の記事にしたわけである。

2019年現在の日本一の金満クラブはもちろん楽天三木谷社長保有するヴィッセル神戸である。イニエスタの補強に加え、ビジャ、サンペールといったバルサの選手を高額で買っている。

そして筆者が個人的に応援しているJ2ジェフ千葉も大手企業であるJR東日本古河電工がスポンサーになり元ブラジル代表やJ1の主力選手、プレミアリーグ経験者などを補強している。

最後に自宅の近所にある江戸川区を本拠地にしている関東1部リーグ(5部リーグ)の東京23FCも最近はインターネット銀行や大手不動産会社がスポンサーになり、下手なJ3よりも資金が増えてきている。

しかしこうしたクラブの現在位置はどうなのかという話だ。神戸はJ1で14位で、ジェフはJ2で17位で、23FCは10チーム中8位である。クラブに資金が流入して選手を買ってもそれでうまくいくわけではない。

ここで最初に戻るがアノミーという考えでは好景気になってある人にお金が急に入ってきてお金の力で欲望がなんでも叶うと錯覚してしまう。

しかしお金のできることというのには実は限界がありマネーという力は実は万能薬ではない。わかりやすく言えばお金持ちが腹がたるんできたので高級スポーツジムに行くお金を工面できても、マッチョな体を作るのはお金とはまた別の能力だ。もしくは外国語を覚えたい人間が高い参考書を買っても、それだけでその外国語を喋れるわけではなくお金とは別の能力を要求されるわけである。

それと同様に神戸にせよジェフにせよ23FCにせよお金がたくさんあってもそれによってできる能力というのは実は限界があって、経済力の向上によるアノミーの肥大化でお金で何でもできるという錯覚を持ちがちだが、お金の力で選手を買って最強軍団を仕立てようとしても、むしろ「船頭多くて船山登る」になってしまう。

筆者もお金がないしお金の力で・・・、と思ってしまうが、お金の力というアノミーによる錯覚というのはサッカー界にも一般社会にも実は多いのである。