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私的スポーツビジネス論 51 アスリートの敵

のっけから大仰な話になるが、今回は自分の格闘家時代の経験に基づく話をしていきたい。

筆者自身中学生時代柔道部にいた。同じ柔道部にKという柔道センスの塊のような部員がいた。

とにかく技のキレやコピーする能力にたけていて、一度かけた技はすぐに対処する柔道家に必要な反射神経も高く、筆者も柔道を始めたばかりでありながらも「こいつは柔道センスの塊だな」と思った。

しかしKは天才にありがちな練習嫌い。しかも顔の彫りが深いタイプのイケメンで話もうまい。当然女にもモテる。いつしか柔道部で埋もれた存在になっていってしまった。

その後筆者は転校をして別の柔道日に入部した。そこにSという重量級の選手がいた。Sは超人ハルクを思わせる怪力自慢。同点になれば大将戦にいけばSで勝ちだ、というくらい絶対的な選手であった。

そうしたSは高校進学に柔道の推薦で強豪校に入部。しかし高校に入り始めて挫折を経験し、タバコを覚えていっていつしかいなくなってしまった。

そうした後に筆者はボクシングをすることになる。そこにいたジムにTという軽量級のボクサーがいた。

こいつもとにかくセンスの塊。一緒にスパーをしたこともあるのだが、とにかく速い。軽量級だからパンチは大したことはないのだが、とにかくかまいたちが目に前にいたらこんな感じなのかな、と思うくらい全く対応できないくらいのスピードであった。

スパーが終わると息も切れている筆者に対して「もうちょっと攻撃してくれないと練習にならないですよ」涼しい顔。

実際Tのもとにはほかのジムから世界ランキングに入るくらいのボクサーがぜひスパーをしたいと出稽古するくらいの実力者で、Tはジムで初めてのチャンピオンになるかと将来を羨望されていた。

しかしTも結局女でダメになっていった。かねてから「スパーと女。どっちを優先するなら女でしょ」と公言していたT。実際にそうしたようでいくら先天的なセンスがあってもボクシングを最優先にできないボクサーにはタイトル挑戦のチャンスはない。結局Tも先天的なセンスを生かすことなく、ボクシングを引退していった。

結局のところ昔あるノンフィクションライターが言っていたが、格闘家の敵は女とタバコだと言っていたがいい得て妙な気がする。女の場合、敵という側面ではなく内助の功で成功するパターンもあるのであろうが、筆者の周囲では少なくともダメになったパターンのほうが多い。

筆者自身もっと格闘技のセンスがあれば成功したのに、と思った時期もあったが、今思ってみると、格闘技のセンスがあってもそれだけではだめでそれ以外の自制心やメンタルの強さがないと格闘技は成功できないし、それは格闘家のみならず広くアスリート全般に言えたことにあるように思える。