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私的蹴球論 5 私的サイドハーフ論

昨日(2019年5月25日)東京都の味の素スタジアムで、J2の東京ヴェルディVSジェフ千葉の試合を観戦した。ジェフサポの自分としては追いつかれての1-1で正直言って、今のジェフの実力相応の試合のように感じた。

しかし少なくとも前半に限って言えばジェフは良かった。左のサイドハーフ為田大貴と右サイドハーフ船山貴之が両サイドをワイドに展開して、5月なのに猛暑日のピッチのなか、ヴェルディの選手の無駄走りを誘発する。

そして左サイドの為田が展開してから、中央のクレーペのシュートを阻まれてるも、船山が押し込んで先制した。

と、こんなことを言ってもジェフサポ以外はなんのこっちゃわからん、といったかんじだろう。何を言いたいかと言えば今のジェフのストロングポイントというのはサイドなのであって、ジェフに限らず両サイドのクォリティーがサッカーの質、ひいては勝敗すらも左右するのである。

先日出版された「中村俊輔式サッカー観戦術」で著者の中村俊輔が、世界的なフォーメーションの主流が4-2-3-1になって、「3」の位置のトップ下はゴール前に飛び出す役割になり、ゲームメーカーは一列後ろのボランチが担うようになったと説明(余談だが俊輔は純然たるトップ下でのゲームメーカーがいなくなったことをさびしがっていた)。

そうしたうえでの今回のサイドハーフ論。俊輔がいうようにゲームメークの主流は確かにボランチに移行した感もあるが、その一方でそんなゲームメークという点でもサイドハーフの重要性が上がってきたのも現代サッカーの特徴のように感じる。

サイドハーフがピッチの縦横をピストン上下動させてボールを運ぶのと同様に、ボールを手放した後のフリーランニングの時に囮(おとり)のうごきをしたり、サイドからクロスを供給してサイドの攻撃の起点になったり、サイドバックのオーバーラップにに対しては、後方の空いたスペースを埋めに戻ったり、現代のサイドハーフは実際の立ち位置よりずっと広いエリアをケアする必要が出てきたように感じる。

サイドハーフとって一番必要な要素と言ったら90分走り切れるスタミナと戦術理解度、そして周囲の選手とのコミュニケーション能力だ。

代表の試合を見た後にJ2の試合を見て思うのだが、日本代表とJ2で個人的に見て技術ではそれほど差がないように見える。実際に前述の試合でもヴェルディの選手が日本代表に選出されていた。

では日本代表とJ2の差は何なのかというのがそれが戦術理解度である。攻撃の起点となるサイドでの選択肢を把握し、何が最もベストの判断かを峻別する能力をサイドハーフには豊富な運動量とともに求められている。

そして前述の能力に加えて、シュートを決める決定力とサイドラインから中央へボールを供給できるパサーとして能力。そうした高度な構想力とそれとその高い理想を具現化できる体力の両方を必要とされ、現代のビジネスパーソンではないが心身ともにタフネスでないと務まらないのが今のサイドハーフである。

今回はこうしたサイドハーフ論を考えてみたのであるが、筆者のような外野がとやかく勝手なことを言うのもなんであるが、世界中のどの国のどのカテゴリーでもすべてのフィールドプレーヤーの役割は選択肢も増えた上に、それぞれが高度な水準をもとめられるようになった。