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私的蹴球論 31 長友佑都を考える

つい先日、錦糸町を歩いていたら、電光掲示板に「長友佑都、フランスに移籍」とあった。イタリアやトルコで活躍し、代表でも不動のサイドバックである長友佑都。新天地にフランスを選び、ベテランになりながらもさらなる飛躍を求める姿は、すでに孤高の存在に見える。今回はそんな長友佑都について考えてみたい。

既に代表で10年、イタリアのインテルで主力となり、日本の左サイドバックの代名詞となった長友。

筆者も一応サッカーのブログを書いている身分として、とりあえず代表の試合もそんなに熱心ではないにしろとりあえず見られるときは見ている。

相手の格にもよるけど、長友を似ていてえらいなぁ~と思うことは多い。

その最たるものは当たり前だけど運動量が豊富なことにある。中盤の選手がボールを保持してサイドに展開すると、必ず長友は中央のバイタルエリアにカットインをするのを怠らない。

逆にトップ下やほかの中央の選手がそのまま中央突破をしようとすると、長友は必ず左サイドへオーバーラップをするのも怠らない。

とにかく必ず汗をかく作業に手を抜かない。この10年様々な日本代表監督が就任し、世界中で日本代表は試合をしてきたが、どんな監督の要望にも長友は豊富な運動量でしっかり答えていたように見える。

それと長友がすごいのが戦術理解度である。常に相手のいないスペースをつぶすのが巧みで、ただ走っていればいいわけではないのは当然のことで、自分がボール保持者であっても囮の動きであっても、常に複数の選択肢をほかのプレーヤーに持たせるような、いわゆるサッカーIQの高い動きができている。

ただそうしたサッカーIQの高い動きというのは、日本の下部リーグでもできる選手はできるのである。

昨年,JFL(4部リーグ)でW杯南アフリカ大会で長友とサイドバックの両翼を担っていた駒野友一のプレーを西が丘でる機会があった。

駒野は前半の45分だけだったら十分上位のリーグにも通用するだけのサッカーIQはあった。

しかし駒野が動けたのは前半だけであった。後半に入ると動きがヘロヘロになってしまい、サイドで相手のスペースをつぶす役割が全然果たせていなかった。

こうした技術力は高くてもスタミナが持たないサイドバックにはJ2にもたくさんいる。

長友の場合何がすごいのかといえば、高い次元のサッカーの戦術を理解したうえで90分高い濃度の運動量をフルスロットルで維持できているという点にある。

長友がプロになったばかりのFC東京時代に、のちにブラジル代表になるヴェルディのフッキを完璧に止めた動きが先日SNSで流れてきたが、大卒1年目の頃から、長友はワールドクラスのFWを1対1の対人守備で抑えられている高いレベルの潜在能力を持っていた。

それがイタリアに移籍してから「経験という名の修羅場」を積んだことにより、何段階も上のレベルの戦術理解度と運動量を身に着け歴代のW杯の主力メンバーにまで成長していったようにみえる。

長友に限った話ではないが、サッカーIQの高い選手は日本にもたくさんいる。問題はそうした高い次元のサッカーを90分間やり切れるだけのフィジカルが備わっているかという話である。 

うまい選手なだけならどこにでもいる。賢い選手も同様である。そうした選手と日本代表との差というのはそうした高い次元のパフォーマンスを90分維持できるところにある。

長友のすごさはそうした高いレベルのプレーを遂行できるだけのスタミナにあるが友が表引退した後、次に来る代表の左サイドに適任者がすぐ出てくるか疑問である。それだけ長友はすごいのである。

 

長友がすごいのは、それを試合開始から終了まで、徹頭徹尾やり切れるところにある。