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私的蹴球論 45 天才の真似をしてはいけない

先日ジェフ千葉の30周年記念のポスターを買った。そのポスターの中にジェフが一番良かった時代の我らがイビチャ・オシム監督の写真も入っている。

このポスターを眺めていて感じるのであるが、どうしてもオシム時代を知るものとしては、歴代の監督を見ていると、オシム監督を基準にしてジェフのサッカーを見てしまうものがある。

しかしこのブログで何度も書いていることであるが、深田恭子を基準にしてアラフォー女子を考えてはいけないのと同様に、オシム監督を基準にしてサッカー監督を考えてはいけないというのことである。

オシム監督のサッカーを見ていて思うのが、筆者が若い時にやっていたボクシングでいうところの1990年代のイギリスの世界フェザー級王者であるナジーム・ハメドのボクシングを想像してしまう。

興味がある方は検索エンジンで「ハメド ボクシング」で検索をかければすぐ出てくるであろうが、ハメドのボクシングというのは天才(というより異端)の一言に尽きる部分があった。

筆者のつたない文章を読むよりさっさと動画を見たほうがいいのだが、とにかくハメドのボクシングというのは、ボクサーの基本であるガードをしない。手で防御せずに、全部反射神経でかわす。超絶的な反射神経と身体能力・才能がないとやっていけない、漫画のようなボクシングであった(実際漫画のモデルにもなった)。

筆者含めて客としてみている分にはそれでもよかったのであるが(実際普段はボクシングにはまるで興味のない兄もハメドのボクシングの大ファンであった)、現実にリングの上であんなボクシングを真似できるやつはいるわけがない。だから客はハメドのボクシングは好きであったが、ボクシングの指導者はハメドを嫌がった。

実際のところ、今のボクシング情勢など知る由もないのだが、少なくとも筆者が知る限り、ハメドのボクシングを完璧に自分のものにして、世界王者のトップクラスになったボクサーを筆者は知らない。

翻ってオシム監督である。オシム監督のサッカーというのはこのゾーンディフェンス全盛の時代に、絶滅危惧種のマンツーマンディフェンスでJ1の強豪にと対戦して結果を残していた。

後に日本代表監督にもなった指導者のサッカーであるか、日本中のサッカー監督がオシム監督のサッカーの練習法を真似て自分のものにしようとしていた。

しかしそこから15年近くたって、オシム監督のサッカーを日本人で体現できた指導者を筆者は知らない。

全盛期のヨハン・クライフバルサを真似ようとしたサッカー監督は世界中に生まれた。しかし全盛期のバルサと同等のサッカークラブというのはほとんど存在しないように筆者は感じる。

この事実から考えると、結局天才の考えることというのは天才でないとできないということであり、天才をパフォーマンスを見て楽しむ分にはいいが、実際に天才の真似をしてはいけないということである。

凡人は天才のことなどわからないということである。