私的スポーツビジネス論 43 筋肉
筆者自身アラフォーになって若い時には当たり前にあったような、健康や元気というのが、この年になると維持するだけでこんな苦労するとは思わなかった。若い人からすると年末になると出てくるアイドルのカレンダーの中に38歳の深田恭子がいても、単なる選択肢の一つにしか思わないであろうが、同年代の身からすると、この女はどれだけストイックな節制をしているのか?と性的欲求よりも人間としての敬意のほうが勝ってしまう今日この頃である。
さて、そうした中での今回のタイトルにある「筋肉」であるが、アイドルやモデルが新陳代謝を活発にさせて、肌つやをきれいにさせる筋肉やトレーニングが必要なように、アスリートに必要な筋肉というのもまたそれぞれ違ってくる。
昔のボクシングネタで恐縮であるが、かつてある札幌のジムにマッチョなボクサーがいて、その選手のあだ名が「ヘラクレス」。
彫刻刀で彫ったような屈強な肉体美。盛り上がった大胸筋。シックスパックされた腹筋。ボクサーの腹筋はシックスパックされて当然であるが、その選手の鍛え抜かれた身体はほかのボクサーと比べてもひと際目立ったものである。
では、そのヘラクレスの戦績はどうだったかといえば、勝ったり負けたりの冴えない戦績であってチャンピオンベルトとは程遠いボクサーであった。
一方で東京に木村悠というボクサーがいた。名門ジム所属で大学アマからの転向組であったが、ほかにも有望株は多く、正直いってボクサーとしては無印の選手であった。
ぱっと見はとにかく非力。当然シックスパックはされているもボクサーとしては貧相な身体で、実際にパンチ力もほとんどなく手打ちでほとんどが判定勝ち。木村が前座に出ているときなど、筆者は正直試合を見ないでメインの前に混む前のトイレに行っていたくらいであった。
しかしそんな木村が記念受験のような世界タイトル挑戦でまさかの戴冠。もちろん得意の判定勝ち。この木村のタイトルマッチを生観戦したわけではないのだが、ボクシングと筋肉の量というのは必ずしも、相関関係にあるわけではないのだし、もっと言えばよくボクシングは喧嘩だと勘違いしている輩もいるが、色々な意味でボクシングと喧嘩は全くの別物であるということがよく分かった。
今回はかつてやっていたボクシングをたとえに出してスポーツにおける筋肉の説明をしてみたが、こうした事柄というのは何も格闘技に限らずサッカーでも同じな気がする。
よくサッカーのFWで筋肉を無駄につけてしまって、本当に必要なアジリティー(敏捷性)を失ってしまったという話はよく聞くし、ボディービルダーみたいな肉体美が必要な世界というのはボディービルダーの世界だけなのであろう。
今回はアスリートにおける筋肉について考えてみたわけであるが、やみくもに筋肉をつければスポーツの結果が出るわけはないので、若いアスリートはご用心!