サッカー&バスケビジネスのブログ

サッカー(ジェフ)やバスケット(SR渋谷)、スポーツビジネスについてのブログ

私的スポーツビジネス論 38 時間は名医

冒頭のタイトルの言葉はある精神科医精神疾患の治療に対する言葉から引用している。自分がそういう疾患なわけではないのだが、物ごとの悩みを解決してくれるのは大半は時間という意味では正しいのかもしれない。

さて、このブログはスポーツビジネスのブログなわけであるが、この世界でもこの「時間は名医」という言葉は当てはまるように感じる。

というのも、このブログを読んでいる人ならわかると思うが、筆写ののブログは、サッカーとバスケが基本的なテーマのブログではある。しかし1993年に生まれたJリーグと2016年に生まれた統一プロリーグであるBリーグとでは、正直言って、この二つの競技の成熟度というのが全然違う様に思えてならない。

よくプロスポーツチームを成熟させるのにお金が重要であるというのは、当然な話であるし、またこのブログで書くまでもないくらい知られた話でもあるのだが、それ以上に時間という要素がこうした世界を成熟させるのに必要な要素になる。

 筆者が愛読していたスポーツノンフィクションで「マリオネット プロサッカー・アウトロー物語」(山岡淳一郎・2002年・文藝春秋)という本があるが、この中の読売クラブ(現東京ヴェルディ)のチームディレクターとブラジル人サッカー監督の中のやり取りにこんな一説がある。

「プロは、仕組みが変わったからって、すぐに生まれるものではないよ。それほど単純ではない。サッカーの母国イングランドでプロが誕生までには、途方もない時間がかかっている。産業革命後、労働者階級のサッカー好きが集まって、土地を購入し、スタンドを作ってクラブの基礎ができた。(中略)

 ほかのヨーロッパ諸国や南米でも、時間をかけて、ワインが熟成するようにプロ化が進んだ。

 急いでは、行けない。プロは制度だけの問題ではない。

 能力、資質、根性、人柄………人間の存在が問われているのだよ。」 

サッカーというプロスポーツが一つの産業になり,利益が現金化され、観戦する者の中で歴史となり、一つの文化として形成されていくには、日本という国だけでも四半世紀もかかり、しかも欧州や南米に比べればまだ時間が足りないと言われている。

サッカーでさえそうなのだから、プロバスケというのがいくらネット系の資金が流入して、ビジネス化されていったとしても、それが一つの文化として構築されていくには、一人の赤ん坊が成人に成長するまでの時間が必要になっていくのではないのであろうかと思える。

一人の赤ん坊が成人になるのに紆余曲折の人生があるように一つのプロスポーツメインカルチャーになるまでにも、また同じくらいの濃密な出来事を要する。事実、日本のプロバスケもここでは詳しくは割愛するが、様々な出来事が起こったし、またこれからも起こるであろう。

今回はプロスポーツが一つの文化として成熟するのに一番大事なのは実はお金ではなく時間だ、という話をしたが、こうしたスポーツビジネス論についてはまた書きたいことも多いので、これからも書いていきたい次第である。