サッカー&バスケビジネスのブログ

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私的スポーツビジネス論 37 ストレッチは生き様だ。

先日、新宿にある某スポーツブランド用品店に足を運んだ。そこの店員をやっている若いお姉さんが筆者の接客を担当した。

しかしこのお姉さん、普通にかわいい女の子であるが、何か既に佇まいが違う。変とかそういうのはないが何かが雰囲気が違う。

その店員のお姉さんに「何かスポーツやっているのか?」と尋ねたところ、その͡娘は「スポーツではないですけどダンスをやっています」と答えた。

筆者自身ダンサーに前から聞きたいことがあったので一つの質問をした。

「ダンサーはストレッチを一日どのくらいやるものなの?]

そうするとその͡娘は「1日1時間くらい」と言った。

「24時間のうち1時間てずいぶん長いね」と言ったら、

「でもそのくらいやらないと動きの質が落ちますから」とダンスに対する真摯なプロ意識を見せた。

その娘はスポーツ用品店で働いている時点で既に専業ダンサーではない。新宿やダンススタジオに通う通勤時間、家事、睡眠などをすれば、残された自由な時間というのはごくわずかである。

そのわずかな時間の大半を使ってストレッチをやっている。当然お店の中なので彼女の身体の柔らかさは本物であろうがダンサーという生き物はその踊りたいという自分の身体から湧き出る欲求に対して、本当にストイックな生き物なように感じた。

筆者自身もボクシングを始めたころから引退後もずっとストレッチをやっていて23年たつが、この娘のストイックさに比べたら、同じストレッチをやっていたとは口が裂けても言えないくらい陳腐なものである。

この娘の言葉を聞いてから、1日1時間は無理にしてもできるだけ、ストレッチの時間は長くとるように心掛けるようにした。

この一連のストレッチの話を聞いて思い出したのがあるバスケット選手のことである。

その選手はポジションはセンターで2m以上ある日本人ビックマンである。

しかし昨年この選手はB3でプレーをしていた。

筆者はパンフレットを見てなぜこの選手はこれだけ恵まれた体躯を持ちながら、こんなところでプレーしているのかと疑問に思った。

その理由はコートの端のストレッチで分かった。その選手は体がめちゃくちゃ硬いのである。本当にプロでお金をもらってプレーする気があるのか?と思うくらい体が硬い。おそらくその大柄な身体があるゆえに後天的に必要な努力であるストレッチを全くやってこなかったように感じる。

仮にも3部リーグとはいえプロであるはずなのに、競技は違えどプロになれなかった筆者よりもストレッチを怠り、下部に沈んでるその選手を見ていて妙な怒りのような不快な感情を感じた。

この選手は親に謝るべきだとも思った。もっとしっかり基礎的な努力をすれば日本代表だって夢ではなかったのに、天才にありがちな練習嫌いなんか才能におぼれて低迷する姿を見て改めてプロスポーツの怖さを感じる。

昔読んだ歴史漫画で「人間目はごまかそうと思えばごまかせるが、手はあかぎれだらけになったらごまかせない。そうした人間の手は軽はずみなことをしない。だから信用できる」とあったが、恵まれた屈強な身体というのは先天的なものなので、ごまかせるが、柔らかく柔軟性のある身体というのは、地味なストレッチをやっている証拠なのでごまかせない。

そういう意味ではストレッチというのはある種の生き様のようにも思える。