サッカー&バスケビジネスのブログ

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私的スポーツビジネス論 29 ドラフトの抜け道

梅雨明け間近にドラフトの話をするのもなんとも季節外れな気がするがとりあえずご清聴願いたい。

筆者のブログはサッカーとバスケのブログである。今の日本ではどちらもドラフト制度は存在せず、自由獲得制度となっている。

今の時期はバスケ界は野球でいうストーブリーグで移籍市場が最も活発に動く時期でもある。

そうしたこの時期のBリーグはコロナの影響で欧米のトップ選手が日本に入ってきている。そしてアジア枠の影響で韓国やフィリピンの大学トップ選手が、母国のチームを通らずに、直接Bリーグに入団するケースもある。

そうなるときになるのが、そうした他のアジア各国のドラフト制度の形骸化である。

ドラフト制度というのは他に抜け道ができてしまうとその存在意義がなくなってしまう仕組みなのである。

ドラフト制度に抜け道があると形骸化してしまう事例は既にほかの国で存在している。お隣韓国のプロサッカー・Kリーグである。

Kリーグはかつてドラフト制度が存在した。そしてその年の韓国大学No.1で即戦力のファン・ソッコという選手がプロ入りしようとした。

そうして韓国でKリーグのドラフト会議が行われ、とあるクラブが指名権を引き当てた。

しかし問題はその後にあった。当のファン・ソッコ自体は日本行きを希望し、結局ファン・ソッコ自身はKリーグ経由せず、直接Jリーグサンフレッチェ広島に入団した。

こうしてわかることといえば、ドラフト制度というのは近隣に魅力的なリーグが存在すると、制度自体形骸化してしまうということである。この件でKリーグは今は自由獲得制度に切り替えている。

話をバスケに戻す。今の日本のBリーグのアジア枠制度というのは、韓国や中国、フィリピンといったアジアのバスケ強国のプロリーグからすると脅威に他ならない。

せっかくKBL(韓国プロバスケリーグ)やPBA(フィリピンのプロバスケリーグ)が自国の有望選手を今まではドラフト制度で優位に獲得交渉できていたのが、これからは当の選手が日本やほかの外国のリーグに直接入団したがることで、自国リーグの空洞化が前述のKリーグのように起こってしまうのである。

なにもスポーツの世界に限ったことではないが、こうしたグローバル化の脅威というがこれからのアジアのバスケ界では起こっていくのである。

もちろん日本も韓国へ移籍する選手がすでに出てきているし、アジアのグローバル化というのが必ずしも日本だけの役得というわけではない。

しかしこの先言えることとしては、アジアのどの国もバスケクラブに交渉の主導権があるわけではないということである。

今回はBリーグとKリーグからドラフト制度の抜け道について紹介してきたが、わかりやすい例でいうと、野球の大谷翔平もメジャー志向があったのを、日本のNPBが半ば選手に脅迫する形で日本球界に目を向けさせたのは記憶に新しい。

しかしなんでもそうだが恐怖政治というのはどこかで破綻する。日本球界もどこかでドラフトに対して方向転換を余儀なくされるであろう。

ドラフト制度というのはMLBNFLといった絶対的な存在感のあるリーグでないとこれからは存続が難しい。

少なくとも日本の野球でもほかのアジアのバスケ強国でも、グローバル化の大波に飲み込まれると、ドラフト制度というローカルルールというのは瓦解していく可能性が高い。

その崩壊の